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打田耳鼻咽喉科医院

2000年
島根県出雲市

雑誌掲載
医院建築No.20

設計主旨
打田先生はすでに市内に開業しておられたが、都市計画道路の拡張に伴う移転新築のため設計を依頼された。
敷地はJR出雲市駅より南へ500m、中心部より少し離れたところに位置し、幹線道路に対して南北に細長い長方形の約200坪の土地である。
計画は近隣と違和感のない明るい外観とすること、診療所建築に見られる冷たいイメージをなくして、開放的な明るい空間とすることなどを考慮して進めた。また、玄関ホールと待合室には床暖房を設置し、衛生を保つためスリッパを使用せず素足で歩けるようにし、診療所にありがちな履物やスリッパが玄関に氾濫しないように中待ちでスリッパを使用するように計画した。
外観はヴォールト屋根の大屋根とし、構造は集成材を利用した木造とした。外部は部分的に構造材をそのまま表わし、内部も木組みをそのまま表わして木肌のあたたかさを出すようにした。
内部空間については待合室の天井を吹抜け(緩やかなヴォールト天井)とし、道路側の西面は遮熱ガラスのペアガラスを利用して床から天井までの開口部とし、外からの光を充分に取り入れた。そして窓越しに外の緑を間近に見ることができ、くつろぎながらゆったりとした気分で診療を待てる開放的な空間とした。
診療室については、外からの光が直接入らないようにと先生から要望があり、中待ちの天井が診察室に入り込むような空間構成とし、間接的に光が入るようにした。
景観計画として、夕方から夜にかけてライトアップすることで、単なる医院のイメージより、地域に開かれた医院という感じに計画した。
開院から3か月が過ぎ患者の数も増えつつあり、樹木がその場所に根づくように、打田耳鼻咽喉科医院も地域に根差した医院になりつつある。
(設計担当者/矢野 徹)

※この文章は、『医院建築No.20』(2000年7月発行)に掲載されたものです。

建築データ
主要用途 診療所
設  計 ナック建築事務所
施  工 有限会社石川工務店
     株式会社内村電機工務店
     アルファ工業株式会社
敷地面積 647.37㎡
建築面積 199.00㎡
延床面積 275.00㎡
階  数 地上2階
構  造 木造

>打田耳鼻咽喉科医院ホームページ

 ▲構造に秀英材を使ったヴォールト屋根をもつ北西側からの外観全景。
  部分的に集成材を現わしとして木肌のあたたかさを出している。

 ▲入口まわり外観。

 ▲待合室は遮熱ガラスを利用して床から天井まで開口としている。
  日射を制御するため外部には木製ルーバーを設置した。

 ▲ホールより玄関を見る。

 ▲待合室より道路側開口部を見る。
  玄関ホールと待合室には床暖房を設置。待合室はスリッパなしとしている。

 ▲上部吹き抜けの待合室より受付を見る。

 ▲夜景。

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