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揚の家

1987年
島根県出雲市

用途 住宅
延床面積 160㎡
構造 木造
階数 地上2階

第1回出雲市景観賞

住宅建築1988年6月号「木造住宅15題 出雲地方の住宅5題」掲載

この家は、私にとって自邸からはじまった一連の住宅のまとめと言える住宅である。また今まで部分的に家具の制作を依頼して作ってもらっていた竹内さんとのはじめての共同作業による住宅でもある。建築主のTさんから、木としっくいによる本物の木の家が欲しいと設計の依頼があった。私も木はできるだけムク材を使うべきだと思う。ただ、時間と経済的制約の中で十分に乾燥した良材を手に入れるのが大変困難なのが現実でなかなか思うようにいかない。さいわいにも今回は、ほとんどの木をムク材として使うことができた。しっくいは、外部については磨き仕上げとし、内部については、すこし柔らかな感じを出すため砂しっくい仕上げとした。
左官の広田さんは、砂しっくい仕上げははじめてのことでだいぶ苦労されたようだ。それでも手間を厭わず、私につきあってくれたことに感謝している。この家の空間的中心は、吹き抜けをもった居間、食堂の空間である。
吹抜けには2階にあるご主人の書斎がちょうど船のブリッジのようにはり出している。このはり出した書斎にそって自然光が入るようにトップライトが設けてあり、下の食堂と上の書斎とに自然の光を導いている。家族の中における主人の存在について、船における船長のイメージが私にはあった。この吹抜けの部分にステレオのスピーカーが設けてあるが、ムクの天井と砂しっくいとそして吹抜けの空間があいまって、素晴らしい音楽をかなでてくれる。
竹内さんの家具は、堅木でなくやわらかいベニ松をつかった木のあたたかさを感じさせる家具である。この家具はこの家の空間にやわらかな表情をあたえている。これからも、今回のような場が持てればと思っている。
この家は、まとめの住宅だと言ったが、次のステップとしては出雲という風土に根ざした住まい作りを模索しているが、まだ先は見えてこない。
(龜谷 清)

 ▲南東隅の庭から見た外観

 ▲南側正面外観

 ▲食堂

 ▲居間から食堂を見る

 ▲居間と食堂

 ▲書斎

 ▲南側外観の夜景

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