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下古志の家

1990年
島根県出雲市

用途 住宅
延床面積 113㎡
構造 木造
階数 地上2階

住宅建築1997年10月号掲載

4間角の田の字型架構とヴォールト屋根
 この家は延べ床面積36坪という小さな住宅である。建築主は夫婦二人だけの家族であり、ご主人は大のAVマニアである。この家に求められたことの一つは、自慢のタンノイのスピーカーが良く響く部屋を作ることであった。コストも結構厳しく、できるだけコンパクトにまとめなければならなかった。そこで木造の架構として最も基本的な形の一つである民家の田の字形プランをベースとして展開していくことにした。4間角の正方形を田の字に分割し、2層に重ね合わせた架構とし、その上に緩やかなヴォールト屋根をのせ、そのなかにそれぞれの空間がはめ込まれている。1階と2階をつなぐ空間として、居間の一角に吹抜けが設けられている。この吹抜け空間にすべての居室が面する構成となっている。この吹抜けを介してそれぞれの空間が連続している。この吹抜けの空間は、居間で鳴らされるタンノイのスピーカーから出る音を増幅させ、家全体を楽器のように響かせている。今まで私はタンノイのスピーカーの音は好きになれなかったが、ここで聴いた弦の響きには感動した。
 この家は石川工務店の棟梁である田部さんに負うところが大きかった。もともとヴォールト屋根の母屋を現わすつもりはなかったが、折角だから見せようと言う彼の申し出で、地松を削りだして作ってもらうことになった。大変手間のかかる工事だったけれど快くやってもらい感謝している。
(龜谷 清)

 ▲南側外観-ガルバリウム鋼板で覆われた箱

 ▲北側外観

 ▲居間吹抜け-この吹抜け空間にすべての居室が接する

 ▲2階和室-母屋を現しにしたボールト天井

 ▲書斎

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