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松江北堀美術館

2001年
島根県松江市

受賞
第9回しまね景観賞 奨励賞
第27回建築士事務所協会全国大会建築作品表彰 優秀賞

雑誌掲載
日本建築学会作品選集2005

設計主旨
松江北堀美術館はアール・ヌーボーの代表的工芸作家であるエミール・ガレの陶器を中心にしたコレクションを収める小さな美術館である。
この美術館は松江城の堀に面した城を東に望む伝統的な町並みの残る場所に建てられている。外観はこのような周辺の風景に馴染むように配慮しているが、ただかわら屋根としっくいや黒い板塀を用いるとゆうような短絡的な方法ではなく周辺の町並みの持っているスケールと色に外観を合わせることで周辺との調和を図っている。決して伝統的な仕上げではないし、形態も伝統的な形ではないが周りの風景に馴染ませることができたと考えている。
奥行きの深い敷地を反映した空間は、通りの喧騒から逃れ静かにコレクションに向き合うことができる。ガレの作品は日本文化の影響を強く受けている。そのような作品の展示にふさわしい空間としてここでは「和」と「洋」の絡み合う空間を醸し出すようにこしらえている。壁にはけいそう土の中にわらすさを入れて塗り、天井にはここのコレクションの一部であるドームの照明器具を実際に用いている。外からの光はできる限りおさえて陰影のある空間となるよう工夫している。
この美術館は「現代的なもの」と「伝統的なもの」そして「和」と「洋」が絡み合いエミール・ガレの作品と一体になって独特の美術館を作り出している。

※この文章は、日本建築学会作品選集2005に掲載されたものです。

建築データ
主要用途 美術館 
建築設計 ナック建築事務所
構造設計 
設備設計 
造園設計 
施  工 
敷地面積 283㎡
建築面積 169㎡
延床面積 316㎡
階  数 地上2階
構  造 木造

▲正面外観

▲風除室

▲風除室を見る

▲エントランスホール

▲エントランスホールから展示室へのアプローチ

▲展示室

▲貸ギャラリー

▲茶室

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